当時私たちには秘密の「鍵」があった。私たちというのは当時10歳くらいの私と2歳年下の妹。
当時は田舎での生活でその分家は広く、小学生でありながら私たちは2人ともお互い自分の部屋を与えられていた。
田舎の夜は早い。9時にもなると私たち兄弟は寝室に追いやられた。
それでも時々、ちゃんと寝入っているか両親が様子を見に来ることがある。
その度にいやでも寝たふりをしなければならない。
遊び足りない私たちはお互いに秘密の合い言葉ならぬ「合い鍵」を作った。
その鍵というのが、もう期限が過ぎて捨てられた父親のクレジットカード 現金化だった。
無造作にゴミ箱に捨てられているのを見つけた私はそれを父親にもらったのだ。
どうせ無効になったクレジットカード現金化であるし、
別に問題はないと考えた父親はあっさりとそのカードを私びくれた。
クレジットカード 現金化は2枚あった。
私は青地に銀色の文字の美しいカードを取り、
もう1枚の緑の方を妹にあげた。使えなくても子供が初めて手にしたクレジットカードの魅力は絶大だった。
そして私たちはそのカードをお互いの部屋のドアの下のすき間から滑り込ませることで。
まだ起きているかいるかを確認して互いの部屋に親の目を盗んで行き来した。
滑り込ませたクレジットカードが部屋からはじき返されたらまだ起きている証拠である。
いつしか、中学校に私が進む頃までにはそんなことも止めてしまっていたが、
今でもクレジットカードを見るとあの頃を思い出すのだ。
